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2012年3月13日

先日、通勤途中に鶯巣の声を聞きました。まだ、練習中らしく余り上手ではありませんでしたが、少しずつ春の足音が聞こえてきましたね。(ちなみに鶯は春の鳴き始めから少しずつ奇麗な鳴き声になっていくそうです。最初は「ホーホケッ」なんてこともよくあります。)

またまた久しぶりの更新となってしまいました。さて今日は当院の初診時の内容に付いて説明したいと思います。
最初は、患者さんの訴えを伺うことから始まります。その後口腔内写真とレントゲン写真を使って現状を説明し、過去の症例を使って治療法についてさらに詳しく説明しています。

これが、必ず撮っている写真です。

毎回10枚以上撮影し、状態の悪そうなところはアップで見てもらいます。下の写真がその例ですが、ここまでアップできます。

レントゲン写真と口腔内写真の説明を始めると、ほとんどの患者さんがこれまであまりご覧になっていなかったようで、食い入るようにモニターをご覧になります。半数以上の方は思っていたより汚れた口の中を見てショックを受けられます。

さらに、拡大した写真は私たちがルーペを使って観察する以上によく見えますから患者さん自ら虫歯を見つけてもらえます。これはとても重要な事なのです。

これまで長く歯医者をしてきましたが、他の医院から来られた患者さんが「虫歯じゃない歯を削られた。」とか「それほど大きな虫歯じゃなかったのに、大きく削られてしまった。」と訴えられのに何度も出くわしました。

しかし、このような口腔内写真を最初に撮って患者さんに説明すると、そういった疑いは一切なくなります。むしろ患者さんの側からこの虫歯を治してくださいと言われる事すらあります。

当院では、このような診査と治療の説明を初診時に約1時間程かけて行っています。そうすることで、患者さんとのよりよい信頼関係を築く事ができ、後の治療がとてもスムースになります。医療は「医者は患者を治せばいい、患者は医者に任せればいい。」といった時代ではなくなりました。「医者と患者が協力して治す。」時代だと思います。

ちなみに、当院ではご希望の患者さんにだけ、撮影した画像をIDとパスワードを付けてホームページからダウンロードできるようにしています。

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2012年1月17日

このところ冬らしい寒さが続いていますが、皆さん体調など崩されていませんか?

私ですか?私は、一昨日母校の剣道部の新年稽古会に参加して、汗をかいてきました。1時間程の稽古ですが、真冬でも終わると1kg痩せるくらいの汗が出ます。まあ、その後にお酒を飲んでチャラになっちゃうんですが、体はポカポカして風邪の菌なんか寄せ付けない体になります。

学生時代は、この時期に寒稽古があって、講義の前に稽古で一汗かいて、みんなとマックで朝食をとり、あるものは講義にあるものは雀荘に行ったものでした。稽古は厳しく気が重かったのですが、今となってはとてもいい思い出です。

さて、本日のお題です。お正月休み開けにご連絡のあったお子さんです。転んで前歯を折ってしまったとの事、すぐに手を打たなければなりません。

 

幸い破折して無くなってしまった部分が僅かだったので、度々ご紹介しているダイレクトボンディングでご覧の通りになりました。

写真でこれだけ拡大すると、僅かに修復した部位が分ってしまいますが、面と向かい合ってみると、全く分らないレベルです。

写真で拡大しても全く分らなレベルになるよう、日々努力していきたいと思います。

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2011年12月29日

今年も残り少なくなってきました。
当院も昨日最後の診療を終え、今日からお休みさせて頂いています。
今は、年の締めの行事として朝から年賀状をせっせと書いています。

毎年年賀状を書きながら、しばらく年賀状でしか連絡を取っていない人の分になると、今年から出すのを止めようかなどと頭をよぎるのですが、なかなか切りがたいものもあり、何年も年賀状だけで繋がっているという人が何人かいます。

そんな人たちに、今年は久しぶりに合うことが出来ました。何と、26年ぶりです。きっかけは、私が用事で名古屋に一人で帰ることになり、土曜の夜がポッカリ空いてしまったため、思い切って手紙を出したところ、みんな集まってくれました。

その人たちと出会ったのは二十歳前後で、今はその子供達が二十歳前後という年回りになっての再会です。当然盛り上がらない訳がありません。みんな全く変わってないのですから。

それから、先日昼休みに突然実家のある街に住んでいる人から電話がかかってきました。なんと、高校時代の恩師で、とてもお世話になった方からだったのです。その先生とも、高校卒業以来ずっと年賀状だけの連絡でした。

そんな出来事があったので、今年の年賀状書きはいつもより力が入りました。

さて、今年はたくさんの患者さんに来て頂き、歯医者としてはとても嬉しい1年でした。来年もさらに技術を磨き、皆様のお役に立てるよう努力していきたいと思っています。


なお、休診期間中お困りのことがありましたら、メールにてご連絡ください。出来る限り対応させて頂きます。

では、みなさんよいお年をお迎えください。

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2011年10月27日

残念ながら歯を抜かなければならなくなってしまった方は是非ご一読ください。

まずは一連の写真をご覧ください。


1枚目のレントゲン写真の中央に写っている歯は残念ながら抜かなければなりません。ご覧のように歯の根の中央部まで骨が吸収してしまっています。

では、この歯をすぐに抜いたらどうなるか?既に骨が無くなっていますので、抜いた後は大きな凹みが出来てしまいます。もし、ここにインプラントを入れようとしても、とても深い位置に短いインプラントしか入れることができません。

そこで、抜く前に歯の根を引っ張り出すと、ご覧のように骨も一緒についてきてくれます。最後のレントゲン写真と最初の写真を比べてください。ほぼ理想的な位置まで骨が再生しているのがお分かり頂けると思います。

これだけの骨を歯を抜いてから作るのはとても大変です。何回も骨移植を行わなければなりません。でも、引っ張り出しをすれば、外科処置を施すことなく骨を作ることができます。

これだけ骨がしっかりあればインプラントも安全に入れることができます。抜歯を検討されている方、抜歯後のことをよく考えてから判断してください。

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2011年10月 9日

3連休の方も多いかと思いますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?気持ちのいいお天気でまさに行楽日和、運動会日和といったところでしょうか。

ところが私たちの歯科業界は学会シーズンです。今日もスーツを着て学術講演会に参加してきました。審美では世界的に有名な先生の講演で、会場には1000名程集まったそうです。もちろんすべて歯医者です。

さて、今日のケースは長年歯が折れたままで不自由してきたという症例です。

この方、事故で前歯を折ってしまったのですが、有効な治療法が見つからず、接着剤で両隣の歯に固定して数年過ごしてきたそうです。しかし、歯には相当な力がかかりますから、度々接着剤が外れてとても不自由な思いをされていたそうです。

ネットで当院を見つけて頂き、ご来院頂きました。

 
レントゲン写真ではっきりと割れているのが確認できます。
歯根が比較的長く状態も良かったため、矯正による挺出(引っ張り出し)をして治すことにしました。

 


1ヶ月程でご覧のように引っ張り出しに成功しました。もちろん、仮歯を付けていますから、矯正装置は見えません。

 
そして、土台を立ててセラミックを被せるとご覧のようになりした。

患者さんは、これまで何度も接着剤が外れていたため、常に神経を使いながら食事をしなければならず、とてもストレスに感じていたそうですが、これで心置きなく食事をすることができるようになったと、とても喜んで頂きました。

当院ではいろんなテクニックを駆使して、歯科治療を行っています。今回の症例も、患者さんにしてみれば、「こんなやり方があったんですね!」と驚かれていた様子でした。歯のことでお悩みなどありましたら、一度ご相談ください。

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2011年8月31日

今日はいつも行っている「銀歯を白い歯に!」の手順をステップごとに解説します。当院で最も頻度の高い治療であるとともに、患者さんからの問い合わせも最も多い治療です。

術前です。一見問題なさそうです。

金属を外してみるとこんな感じです。これまで治療してきた銀歯の9割以上が二次齲蝕とよばれる虫歯になっています。

とりあえず明らかに虫歯だと思われるところを削り取り、虫歯を染め出す液を使って虫歯の取り残しがないかどうか確認します。

ピンク色に染まっているところが虫歯です。こうすると分りやすいですね。ピンク色の部分だけ丁寧に削り取ります。
 

これで、虫歯を取りきりました。茶色い部分はピンクに染まっていないので削らなくても大丈夫です。

コンポジットレジンは、光を当てることで固まるように出来ていますが、固まる時に収縮が起きてレジンと歯質との間に隙間が出来てしまうことがあるため、流れのいいレジンを薄く塗って隙間が出来ないようにします。

ここからは、彫刻です。元の歯と同じような形に仕上げていきます。溝や山も忠実に再現していきます。もちろん色にも気を使ってます。
 

そして、レジンでの築造が完成しました。

噛み合わせを調整し、最後に仕上げ研磨です。
 

たった1回の治療でご覧の通り元あった歯のように修復しました。その日から普通に使えます。

この症例の場合、治療時間は約1時間。費用は自由診療で¥15,750。2年保証。

銀歯を白くしたいとのご希望なら、お気軽にご相談ください。

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2011年8月24日

つかの間涼しさでしたが、明日からまた暑くなるようですね。気候の急激な変化で体調を崩さないよう、十分にご注意ください。

さて、当院は歯牙移植をホームページやブログで掲載しているため、移植のお問い合わせをよくいただきます。今回も、移植を行っている医院を探されていた方が当院にいらして頂きました。

まずは、術前の写真です。一見して抜歯が必要かと判断できます。

早速前処置として、移植する親知らずの神経を取っています。

レントゲン写真左上の親知らずを下の一番奥の歯に移植しようと思います。しかし、歯の崩壊が著しく、歯根が浮き上がってきているため、抜歯しても移植する親知らずの根がすっぽり入るだけの穴が開きません。そのため、移植時には親知らずの根が入るだけの穴を掘る必要があり、結構難しい症例です。

抜歯直後の状態です。ご覧のように歯を退いた後は血が出てき見づらいために、移植歯にぴったりとした穴を削るのは至難の業です。

なかなか思うようにいかず、レントゲンを撮って引っかかっているところを確認しました。手前の方がまだ浅いようです。

当院では移植の成功率を上げるためにPRGFと呼ばれる血小板に含まれる成長因子を使用しています。これは自己血を遠心分離機にかけて、中間にある血小板を濃縮して取り出します。これを移植しする部位にたっぷり流し込みます。

所定の位置に歯が入ったところです。歯が飛び出さないように糸で固定しています。

案外うまく入りました。

1週間後の様子です。歯ぐきも奇麗で感染している様子はありません。心配した腫れや痛みもそれほどなかったそうです。

結果は2ヶ月後。

当院では、インプラントの前に移植が可能かどうかまず検討しています。実際問題としては、インプラントに比べ移植の方が技術的に難しいことも多く、適応は限られますが、一考することで納得のいく治療の選択ができると考えています。

お気軽にご相談ください。

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2011年7月18日

今日の症例は、約3年前に上顎前歯をすべて治療した患者さんが、定期検診にいらしたのですが、その長期的な経過についてです。といっても、まずは写真をご覧ください。

左が3年前、右が現在です。どちらもほとんど変わりがありませんね。

審美歯科を成功させるには、まず技工士のテクニックがとても重要です。というのもセラミックは、私のような歯科医師が作るのではなく、技工士が作るからです。ですから、技工士に腕があれば、どんな歯科医師が治療しても結構いい線までいきます。

しかし、長期経過を安定させるには、歯科医師の技量が多くのウェイトを閉めています。トラブルでよくあるのは、歯茎が痩せてしまって根元が黒く見えてしまったり、セラミックが割れてしまうといったものですが、これらはセラミックが生体に適合していないために起こるものです。

実は、このようなトラブルが起こらないようにするには、とても細かな作業が必要となります。ですから、この症例のように安定した経過を見ると、正直言って「ほっ」とします。

短期的に奇麗な症例を作ることは簡単です。しかし、長く奇麗を保つことは、とても難しいことであることをご理解ください。

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2011年6月29日

まだ6月末だというのに7月末のような暑さですね。
先日の日曜日は剣道の稽古会だったのですが、幸い少し気温が低かったので助かりましたが、この暑さだと1回の稽古で確実に2kgは体重が減ります。翌日1日かけて水分補給をして体重を戻します。そんな稽古をしているおかげで、私は比較的暑さには平気です。スタッフはかなりしんどそうですが・・・。

さて、本日のお題は「ブリッジの功罪」。
難しく考えるより見てください。

これを是とするか非とするかは、皆さんの考え方次第です。
(本文を書き忘れた訳ではありません。見てどう感じるかが大切だと思います。)


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2011年6月 9日

不幸にして歯を失ってしまった場合、あなたならその後どうしますか?

入れ歯? ブリッジ? インプラント? それともそのまま?

今回は、そのままにしておいたために起こってしまった症例をご紹介します。
まずはレントゲン写真をご覧ください。写真向かって左上(患者さんにとっては右上)に欠損がありますね。先日その奥の歯が急に痛くなったと訴えて来院されました。
01toothfracture.png

次の写真は痛みが出た歯です。虫歯はありません。
02toothfracture.png

判りましたか?
03toothfracture.png04toothfracture.png

破折線がもう少し深いところまで届いていれば確実に抜歯となっています。

今回はなんとか残していくことにしました。それでも神経を取らなければならないため、確実に歯の強度は落ち、再度破折する可能性は高いと思われます。

では、このような惨事を避けるためにはどうしたら良かったのでしょう?

今なところベストな選択肢は、インプラントだと考えています。インプラントは噛み合わせを回復させるだけでなく、他の歯への負担を軽減してくれます。これはとても大きなメリットだと思います。

ではブリッジはどうでしょう?ブリッジは噛み合わせを回復させることは出来ます。しかし、土台となっている歯への負担は、かえって大きくなるために、破折のリスクも高まってしまいます。

入れ歯の場合、ブリッジ程噛み合わせを回復することは出来ません。さらに、バネがかかった歯への負担はかえって大きなものとなってしまいます。この選択肢が、最も歯にダメージを与えてしまうと考えられます。

これは、あくまで残存歯のダメージを減らすのに最も適したものはどれかという問いに対する答えです。

実は、欠損している部位は3年程前に同様の破折で私が抜歯しました。その際、今後どのようになるか、そのためにどうするべきかを患者さんにじっくり説明してありました。ですから、今回の結果には患者さんもご理解頂いているようです。

さて、皆さんはどの選択肢を選ばれますか?

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2011年6月 6日

まずは写真をご覧ください。

01bridge_fracture.png02bridge_fracture.png

先日ブリッジが浮いた感じがするということで来院された患者さんで、次の約束時にブリッジを外して仮歯を作りましょうということになったのですが、その間にブリッジが折れてしまったようです。

04bridge_fracture.png

初診時のレントゲン写真向かって右側が該当するブリッジですが、レントゲン写真からも危うい設計であることがわります。おそらく、入れ歯になるのを避けるために無理矢理ビリッジを作ったと思われるのですが、当然設計原則から外れていて、保険適用にもなりません。

03bridge_fracture.png

幸いなことに、歯が割れることはなかったのですが、金属の心棒ポキリと折れていて歯の根に残っているのが解りますね。このような設計だと、歯にとても無理な力がかかり、通常だと金属の心棒ではなく歯が折れて抜歯となってしまいます。

入れ歯を避けるあまり、無理な設計のブリッジを入れてしまったため、かえって歯をさらに失ってしまうところでした。


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2011年5月30日

前回はスーパー接着剤について投稿しました。今回はそれをどう生かすかに付いて述べたいと思います。

虫歯を削った後に、スーパー接着剤を塗布すると何が起こるか?

削った面に一層の膜が形成されて、虫歯菌が入れなくなるのです。つまり、傷口を塞ぐ効果があるのです。これは、とても重要なことです。

銀歯を入れたけれど、何年かするとその下に新しい虫歯が出来てしまっていたなんて経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?実際に多いのです。これは、歯を削ってから銀歯を入れるまでの間に虫歯菌が侵入してしまったり、セメントが経時変化により溶けてなくなり虫歯菌が侵入してしまったりするために起こります。

でも削ったらすぐにこの接着剤を塗布することで、虫歯菌をシャットアウトし、さらに取り残してしまった虫歯菌をも殺してしまうのです。例え詰め物が外れたとしても、この接着剤が溶けずに歯の表面に残っていてくれれば、少なくとも虫歯の進行が進むことはありません。

これまで、銀歯がいいとか、セラミックがいいとか聞かされてきた患者さんにとって、盲点を突かれような話かもしれませんが、虫歯の進行を止めたいのであれば、銀歯であろうとセラミックであろうと関係なく、「どんな接着剤を使うか?」が一番大切なことなのです。

これまで、長年歯医者をやってきましたが、患者さんから「一番いい接着剤を使ってください!」と言われたことは一度もありませんでした。多くの患者さんは銀歯やセラミックが丈夫で長持ちするかどうかだけに関心を寄せてきたように感じられます。

しかし、ここで考え方を変えてください。銀歯やセラミックを守るのではなく、歯を守ることが最も大切なことなのです。削られた歯面は感染に弱いため、これを保護することが最も重要だということを。

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2011年5月27日

さて、前回は虫歯を削っても虫歯菌は100%残ってるという話をしました。では、もう虫歯は治らないのでしょうか?

虫歯菌を0%に出来るかどうかは不明ですが、数年前に発売された接着剤が非常に抗菌作用があることが、発売後の検証で解ってきました。さらに、フッ素も含まれているため、通常の接着剤なら時間とともに接着力が弱くなっていくのが、この接着剤は1年後の接着力が強くなっているという優れものです。

実はこの接着力、最近になって解ってきたことなのですが、開発者の先生も予想していなかったことが起こっていると驚いていらっしゃいました。みなさんは、「ふーん」としか思われないかもしれませんが、歯科業界では画期的なことなのです。接着剤は、経時的に接着力が落ちるのが当たり前なのです。

私も発売当初からこの接着剤を使用していますが、よく考えてみればほとんどトラブルがありません。その時は抗菌力と虫歯予防のフッ素を配合していて従来の接着剤とほとんど変わらない接着力を実現したという謳い文句だったので、接着力には特別な期待はしていなかったのですが、そういった研究データが出て来ると、もうこれは最強の接着剤だと行っても過言ではありません。まさに救世主。

とはいえ、何でもかんでもこの接着剤を使えば虫歯が治る訳ではありません。ちゃんとした使い方をしないと、効果は期待できません。

次回は、接着剤の重要性についてコメントしたいと思います。

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2011年5月22日

今日は、コンポジットレジンの講演会を受講してきました。虫歯を治すことは、虫歯を引き起こす細菌を退治することに他なりません。しかし、これがとても難しいことなのです。

今日の講演会で聞いてきたことなのですが、300名余りの歯科医師に虫歯治療の際に、細菌を取り除けているかとアンケートしたところ、約6割が「取り除けていない」と感じていると答えたそうです。実際、虫歯を削っただけではほぼ100%虫歯菌が残っているというデータがあります。つまり、丁寧に虫歯を削り取って銀歯や硬質レジンを詰めても虫歯菌はその下に残ったままになっているということになります。

「えっ?じゃあ、しばらくするとその下からまた虫歯が出来てしまうの?」と思いますよね。でも、そのとおりなんです。銀歯や硬質レジンを詰めてもしばらくするとその下に虫歯が出来てしまうのです。患者さんの中には、「自分の歯磨きが悪いのかしら?」と反省をされる方もいらっしゃいますが、これについては、決して患者さんのせいではありません。

では、「歯医者の腕が悪いの?」と考えてしまうのですが、私たちからしてみれば、どんなに丁寧に虫歯を削っても100%細菌が残ってしまうのでは、医療の限界としか言いようがありません。

だんだん暗い話になってしまいましたね。なんとか虫歯を治す方法は無いものでしょうか?

それが、万全ではないのですがあるんです。続きは次回へ!

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2011年5月 2日

ゴールデンウィークまっ只中ですが、いかがお過ごしですか?

さて、今日はこんなレントゲン写真だったらどうするか?

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左が1年程前の写真で、右が先日の写真です。歯根の周囲をご覧ください。黒くなってますね。つまり、骨が無くなってます。根の治療がうまくなかったのでしょうか?いいえ、このように歯の根もと(歯頚部)から先端まで影が見える場合「破折」を疑います。

1年前には気づかなかったのですが、2本の根の間に陰が認められますので、このとき既に破折していたのかもしれません。もちろん、この間患者さんに自覚症状はほとんどありません。

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抜歯してみると一目瞭然です。歯の根に縦の亀裂が入っています。残念ながら割れてしまうと抜歯しかありません。放置すればレントゲン写真でご覧頂いたように骨が無くなります。骨が無くなってしまうと、その後の処置に支障を来しますので、破折が確認されれば一刻も早く抜歯すべきです。

今回、しばらく治療をお休みされていたため、気づくのが少し遅れましたが、抜いた後にはPRGFを入れておけば、骨の再生を促し、3ヶ月もすれば奇麗に治ります。


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2011年4月29日

月に数人、前歯の差し歯が取れたと訴えて来院される患者さんがいらっしゃいます。しかし、その半数近くは残念ながら歯を抜かなければならないのが実情です。そもそも、差し歯が外れるにはそれなりの理由があります。強い力がかかってしまったり、虫歯になってしまったりして、歯の根が駄目になってしまったから外れてしまうのです。

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歯の根はかなり虫歯が深く、歯茎も炎症が起きています。レントゲンで確認してみると歯の根が短く抜歯しかありません。でも、このまま抜いてしまうと歯茎も骨も無くなってしまい、大きな穴があいてしまいます。そのため、矯正による挺出(ていしゅつ)を行ってから抜歯を行うことにしました。
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見た目は、ご覧のようなブリッジですが、裏側には矯正用の装置が付いています。これで、こっそり歯を引き抜いて、骨も歯茎も作ろうという魂胆です。

「え?」「よくわからない!」と思われるかもしれません。確かに。
からくりを説明しましょう。歯の根を引っ張り出していくと、その後の空隙に新しく骨が出来上がるのです。矯正というのは、押される側の骨が吸収され、引っ張られる側には骨ができるという、生体の仕組みを利用したものです。骨が伸びれば歯茎も付いてきます。

そうして、骨や歯茎をたくさん作っておけば、ブリッジやインプラントをする時にとても有利になるのです。

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この写真はまた別の方なのですが、歯の根が長いので、うまく引っ張り出してまた差し歯を入れようと考えています。矯正挺出をしなければ、かなり見苦しい前歯になってしまいます。

症例集では、最後まで終わったケースをご紹介しています。興味のある方はご覧ください。

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2011年3月31日

この2〜3日、電動歯ブラシをお使いになっている患者さんから使い方についてのご質問を何度かいただきました。実際に電動ブラシをお持ち頂いた方もいらっしゃいました。

電動歯ブラシをお使いの患者さんには共通した誤った使い方があります。それは、
「電動歯ブラシを普通の歯ブラシのように動かしている」
ことです。みなさん、ついついシャカシャカと前後や上下に動かしてしまっているようです。電動歯ブラシは、文字どおり電気でブラシを動かす訳ですから、わざわざてを細かく動かす必要はありません。電車の中で走っているようなものです。歯にブラシの先を当てたら、そのままキープすればいいだけです。

また、共通した問題点があります。それは、奥歯の歯の裏側が磨けていないことです。特に歯と歯ぐきの境目にプラークがほとんど残っているのです。ほぼ全滅です。逆に、このような磨き残しのある患者さんに「もっとよく磨いてください。」というと、たいてい「電動歯ブラシを使っているのにおかしいな?」とちょっとご不満の様子です。

電動歯ブラシを使いこなすのはとても難しいのです。先日、こんな実験をしてみました。私が、患者さんの歯の片側を電動歯ブラシで、もう一方を普通の歯ブラシで磨いて、ツルツル感を比べて頂いたところ、なんと普通の歯ブラシの方がツルツルしているというお答えが返ってきました。

プロの私でさえ、電動歯ブラシを使いこなすのは難しいのです。何も指導を受けられていない患者さんが、市販の電動歯ブラシを我流で使っていたらどうなるか?もうお分かりですね。

本日いらした患者さんは、これまで上手にブラッシングできていたのですが、今日チェックしたところだいぶ磨き残しがありました。少しまえに電動歯ブラシに替えたそうです。ご自分でも、電動歯ブラシで磨いてもなんだか磨き残しがあるような気がしていたとのことでした。

いかがでしょう?それでも電動歯ブラシを使いますか?
ご質問のある方は、お気軽にご相談ください。

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2011年3月19日

先月は、歯根嚢胞摘出術について2回程症例を載せました。しかし、このように手術をして治すのは僅かです。ほとんどは、根の治療で治ります。

次の写真をご覧ください。これは、去年の8月に来院された患者さんが先日お見えになったため、根の治療を終えたところが治ったかどうか確認した画像です。

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1枚目が初診時です。根の先に黒い陰が認められますね。

2枚目が根の治療を終えて薬を入れた時の写真です。根の先まできっちりと薬が入っているのが確認できます。

3枚目の写真が約半年後の画像です。根の先の黒い陰が無くなっていますね。

このように、たいてい根の治療をきちんとすることで、根尖病巣は治ります。しかし、人間の治癒力って本当にすごいですね。

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2011年3月 5日

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久しぶりに出会いました。虫歯は1本もなく、噛み合わせもばっちりで、歯並びもパーフェクト。うらやましい程美しいお口の中でした。今まで歯医者を長年やってきましたが、これだけきれいなお口は久しぶりでした。

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まだ、19歳の若さなので今後問題が生じる可能性もありますよね。

そこで唾液の性状検査と虫歯菌の活性度の検査をしましたが、これも驚いたことにパーフェクト。恐れ入りました。

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2011年3月 3日


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さて、真ん中の汚れ原因は何だと思いますか?

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この写真がヒントです。

答えは、口呼吸。

口呼吸にはいろんな原因がありますが、その一つに耳鼻科的要因があります。鼻が詰まっていると、鼻呼吸ができませんよね。

さて、問題は口呼吸による弊害。いろいろあります。

口唇、前歯部の乾燥。それにより、唾液が歯の表面を洗浄する作用が無くなり、虫歯になり易くなります。

口を閉じる時に、どうしても舌を前に出してしまいやすくなるため、舌が前歯を押し出して出っ歯になったり、オープンバイトと呼ばれる前歯が噛み合わない状態になります。

特に、小さなお子様でこのような傾向が見られるのであれば、早めに対策をとるべきです。虫歯になり易く、歯並びも悪くなってしまいます。

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この症例の方は、これといった原因が見つかっていないため、現在は定期的なクリーニングを行って虫歯予防をしています。クリーニングが終わるとご覧のようにきれいな状態になりました。

お口のことでお悩みなどありましたら、お気軽にご相談ください。

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2011年3月 2日


虫歯の治療を終えてみたら、自分が想像していたよりも大きな銀歯が入っていてびっくりしたり、「痛くもない歯を虫歯治療されたけど、本当は虫歯なんかなかったんじゃないの?」と歯医者に不信感を抱いたことはありませんか?

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この患者さんは、他の医院で歯を抜かなければならないといわれ、何とか抜かずに済まないかと当院にすがるような思いで来院された患者さんです。初診時にこの写真を撮って「黒いラインが破折線なので、抜歯しかありません。」と申し上げたところ、「こんなにパックリ割れていなんて思わなかった!よくわかりましたから抜いてください。」と即答されました。


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この患者さんは、他の病院が信用できないとのことでご紹介を受けた方です。ものすごく痛みが出たということだったので、「神経を取る必要があります。」と説明して治療を行い、最後にこの写真をお見せしたところ、「こんなに大きいとは思わなかった。神経を取らなければならないのも納得です。」とおっしゃいました。実はこの方歯科技工士さんで、いわば専門家です。

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できるだけ、歯は抜きたくないとのことで来院された患者さんですが、銀歯を取ったらご覧のような大きな虫歯でした。これではとても保存することはできません。おまけに、これは親知らずなので、抜いても噛み合わせに支障はありません。そこで、この写真をお見せして事情を説明したら、「よくわかりました。残念ですけど、抜いてください。」とおっしゃって頂きました。

どのケースも、もし写真で歯の状態を患者さんにご覧になっていなかったら、ひょっとしたら患者さんは私に対して不信感を抱かれたかもしれません。

口腔内カメラは、びっくりするくらいよく見えます。これまでは、治療中歯科医師しか見ることがなかった治療の様子を、口腔内カメラを通して患者さんと共有できることは、信頼関係を築き上げるのにとても有効なことだと思います。

いつも、皆さん治療が終わると食い入るように口腔内カメラの映像をご覧になって、「あー、こんな大きな虫歯があったのか。」とため息をついてお帰りになります。たいてい患者さんが思われているより虫歯は大きいものです。不安な方は検診を受けてください。


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2011年2月19日

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また、歯根嚢胞摘出術の症例です。
これは、根の先端に出来た歯根嚢胞のレントゲン像です。根の先にろうそくの炎のような陰が見えますが、これが歯根嚢胞で、骨が空洞化しているためにこのように写ってきます。
rootext_softtissue.JPGのサムネール画像

さすがに、血を見るのが駄目な方もいらっしゃいますのでアップは載せませんが、ピンセットでつまんでいるのが嚢胞です。うまくいくと、このようにコロンと取れてきます。

root_ext.JPGのサムネール画像

嚢胞を取ると、ご覧のようにぽかんと穴があいてしまいます。感染源である歯根の先端は汚れている部分を超音波で削り取ります。この穴は、数ヶ月するとまた骨で埋め尽くされます。

これだけ大きな嚢胞を抱えていても、患者さんは症状が全くないとおっしゃいます。ですから、歯科検診の際には出来ればレントゲン写真を撮って、骨に異常がないかどうか確認する必要があるのです。

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2011年2月16日



先日治療した患者さんが、私が見つけた虫歯の治療をした後に「虫歯の痛みはなかったのになあ?」と不思議そうな顔をされていました。

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写真をご覧ください。これも、検診で見つけた虫歯です。1枚目の写真を見てどこが虫歯かわかればもうプロですね。

このように、虫歯は一見しただけではわからないことが多く、私たち専門家でも十分な明かりやルーペなどの道具がないと見落としてしまいます。

とはいえ、甘いものを食べた時に痛みが出たりすれば、患者さんも気づくのですが、このような自覚症状が出る頃には虫歯は相当大きくなっていることが多いのです。

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どうですか?これだけ大きな虫歯ができていても患者さんは最近まで痛くはなかったとおっしゃっています。

歯医者は痛くなってから行けばいいと思われている方は大勢いらっしゃいます。しかし、残念ながらそれでは手遅れなことが多いのです。皆さんに定期的な検診を受けられることをお勧めします。


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2011年2月 2日

先日、60歳の患者さんが、最近肺炎にかかってしまったと話していました。この患者さん、見たところお若く、スポーツもされており、とても肺炎にかかってしまうようなお方には見えなかったのですが、考えてみれば思い当たる節はありました。

まず、肺炎の原因から説明しましょう。肺炎は、お口から肺に細菌が入って起こる病気です。そして、肺炎を起こす細菌はお口の中にたくさんいます。

ただ、通常お口の中の細菌が肺に入らないようしくみがあるために、健康な状態であれば肺炎を引き起こしません。しかし、風邪を引いて粘膜の調子が悪くなったり、お年を召して喉頭蓋(食べ物と空気を振り分ける喉にあるふた)の動きが悪くなったりすると、細菌の浸入を許してしまいす。

そのため、細菌の浸入をできるだけ少なくするために、常日頃からお口の中の細菌の量を減らしておく必要があります。つまり、歯磨きが必要だということです。そうなんです。この患者さん、実は歯磨きがうまくいっていなかったのです。

また、半年程前になりますが、90歳になられる患者さんが、肺炎により入院されました。ご家族の方から話を伺うと、肺炎にかかる数週間前から入れ歯を入れたままお休みになられていたようなので、入れ歯の汚れが十分取りきれていなかったのが原因ではないかと思い、お休み前に入れ歯は取り外してよく洗って頂くようご指導したところ、その後の経過が良くなったとのご連絡をいただきました。

ご年配の方は、喉頭蓋の反応が鈍ることと、粘膜に付着した細菌を体の外に送り出す線毛の働きが鈍ることで、肺に細菌が浸入しやすくなってしまいます。歯磨きや入れ歯のお手入れでお口の中の細菌の量を減らせば、肺炎のリスクをかなり減らすことができます。

これは、ご年配の方に限らず、風邪を引いて喉の調子をおかしくされた方にも同様のことが言えます。常日頃からお口の中を清潔に保つことは、肺炎を予防する上においてもとても大切なことです。どんなに健康な方でも起こることですから、皆さん他人事と考えず歯磨きを怠らないでください。


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2011年1月30日

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真ん中に移っている歯の根の2/3程に周囲に黒い陰があるのがお分かりでしょうか?黒い陰は、骨が無くなっていることを意味しています。

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上の写真は、その歯を抜いたものです。左の写真に歯の根にひびが入っているのがお分かり頂けますか?おそらく、このひび割れから感染が広がり、ご覧のように真っ黒な細菌が繁殖した歯石がこびりついてしまったのではないかと考えられます。

患者さんは、歯がぐらぐらするから見て欲しいと訴えられてきました。けっして、痛いとはおっしゃっていません。痛みがないから問題ないというのは、危険な判断です。


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2011年1月26日

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1枚目のレントゲン写真をご覧ください。右上の犬歯のレントゲン写真です。

根の先端に、ろうそくの炎のような黒い陰があるのがわかりますか?これは、歯の根の中に細菌が繁殖し、根の先で嚢胞(膿みの袋)が形成されています。

レントゲンでは、このように大きな陰があるため、さぞかし痛そうに思いますが、患者さんはほとんど痛みを感じることはありません。そのため、レントゲン写真を撮った際に初めて気づかされることが多い疾患です。歯周病と同じで、沈黙の病といえます。

この症例の場合、顔を洗ったりするときに、鼻の横あたりに違和感を感じた程度だったそうです。それでも、疲れたりすると重い感じがしていたので、気にはなっていたそうです。

治療法としては、根の中にいる細菌を取り除いてあげればよいのですが、これには、二通りのアクセスの仕方があります。一つは、歯冠(お口の中に見えている部分)側より穴をあけて、根管(神経の入っていた管)を消毒する方法。もう一つは、歯肉を切開して外科的に根の先にアクセスし、嚢胞を除去する方法です。

基本的には、歯冠側よりアクセスするのがセオリーです。それで約6割は治ると言われています。それでも治らない場合に歯肉を切開して外科的に除去する方法を選択します。

この症例も、最初は歯冠側よりアクセスして経過を見ていたのですが、数ヶ月経ってもレントゲン写真に写る嚢胞の大きさが小さくならないために、外科的な処置を行うこととなりました。

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歯肉を剥離して骨までアクセスしたとことです。骨の中に水たまりのようにある柔らかい組織を、スプーンのような器具で取り除くと骨にぽっかりと穴があいてしまいます。中心には感染源げある根の先端が見えますので、超音波で先端を削るようにきれいにしいきます。

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最後の写真は、ルーペで汚れがないことを確認した後に、PRGF(成長因子)を入れて歯肉を元の位置にもどしているところです。

患者さんに術後の経過を伺ったところ、2日ほど少し腫れたものの、痛みはさほどなく、痛み止めを1錠だけ飲んだ程度で治まったそうです。皮膚にこれだけの切開を加えればかなり長く痛みが残りますが、お口の中は遥かに軽い症状で済んでしまいます。なかには、腫れも痛みもなかったという症例も結構あります。

歯根嚢胞は、痛みを伴わないため、患者さんにとっては青天の霹靂のようなものなのでなかには治療をいやがる患者さんもいらっしゃいますが、放置すれば細菌が血液を介して体中に回る危険があり、とても怖い疾患です。

なかでも、心内膜炎(心臓の内側の膜に細菌が付着して心臓の内面がぼろぼろになってしまう病気)は非常に深刻で、根尖病巣が原因で心内膜炎を起こしてしまった患者さんを玉川病院に勤務していた際に何人も見てきました。

小さな嚢胞だからといって、決してあなどることはできません。

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2010年9月 4日

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とても暑い9月ですが皆さんいかがお過ごしですか?

さてそんな暑い中、歯牙移植を行いました。他院にて治療中の20代の女性の患者さんが治療経過に不安を感じて、お父様のご紹介で来院されました。

一見したところ、もう治る見込みはありません(皆さんもどれが問題なのかすぐに判りますね)。レントゲン写真からも判るように歯の根の至る所に穴があいておりそこから薬が飛び出しています。

そこでは、「だめなら抜歯してインプラント」と言われたそうですが、たまたま患者さんが親知らずも抜きたいとご希望だったため、当院では親知らずを抜いて手前に移植しましょうと提案しました。

ここで、メリットとデメリットを良く考えてみましょう。

インプラントのメリットは、確実に行えるということです。インプラントの植立と歯牙移植とでは、移植の方が技術的な難易度が高く、その分成功率も落ちます。ですから、確実な方を望むのならインプラントをお勧めします。

インプラントのデメリットは、費用がかかること。時間がかかること(このケースでは骨の再生に4ヶ月、インプラントの安定に3ヶ月、計7ヶ月必要です。)。などがあげられます。

移植のメリットは、人工物と生体とでは当然生体の方が有利である。費用が安い。期間が短くて済む(約2ヶ月)。歯の周りに残った歯根膜の周囲に骨が再生する。

移植のデメリットは、インプラントより技術的に難しく不確実である。移植する歯がないとできない。などがあげられます。

そして患者さんは、移植を選択されました。もし移植に失敗したらそれからインプラントを行っても遅くはありません。というのも、歯の根の周りにある歯根膜と呼ばれる組織は、骨の再生を手助けしてくれます。そのため、歯を抜いてそのままにしておくよりも、移植した方が周囲に骨ができやすいので、仮に移植が失敗しても、抜歯してただ待つよりも骨の再生が期待できます。

今回、血液中の成長因子を取り出して再生を促すPRGFと呼ばれる手法も同時に行っているため、通常よりも骨の再生が見込めます。つまり、親知らずを抜くのにためらいがないのであれば、移植を行って損はないケースと言えます。

では、3枚目の写真をご覧ください。抜歯した歯の先に白いものが飛び出していますね。これがレントゲンで見えた薬です。カラーだともっと汚くなっている様子がよく判ります。

そして、親知らずを移植した写真がその下の2枚です。金属の横棒は固定用のワイヤーです。骨折の治療と同じで、骨が再生するためには絶対に動かさないことが重要です。

今回移植の際に親知らずの方が抜いた歯よりも少し大きかったため、骨を削って入れいてますので、サイズはほぼぴったりに治まっています。そのため、移植歯の固定も比較的良好です。

これで2ヶ月程待ちます。今回の手技は問題なくできたと自負しておりますが、膿の出ていたところの骨がかなり無くなっていたので、どこまで生着するかはいまのところ不確定です。2ヶ月後に結果をご報告します。

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2010年7月23日

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最近導入した口腔内カメラ、結構いいです。

いままでは、虫歯の治療をする前と途中と後に鏡を使って患者さんに見てもらっていましたが、正直言って本当に見えているかどうか疑問でした。なかには、よくわからないけどそうですねと言われる患者さんもいらっしゃったに違いありません。

しかし、口腔内カメラを使うとご覧の通り、とても良くわかります。患者さんの食い付きが違います。どんな虫歯があって、どれくらいの大きさまで歯を削り、どんな詰め物をしたのか、一目瞭然です。

実は、歯科治療も意外と密室の治療で、患者さんがどんな処置をされたのかあまり知らされてないのではないかと以前から考えていました。それ故、どんなに最善を尽くしても痛みが出てしまうようなケースの場合、これまで患者さんに後から「痛かくなってきた」と訴えられても、「虫歯が大きかったからですね」と答えても言い訳にしか聞こえませんでした。

でも、これだけクリアな写真があれば、どんな治療をしたのか、正確に伝えることができます。

口腔内写真は、患者さんだけではなく私にも大きなメリットがあります。毎日たくさんの方の歯の治療をしていれば、1本1本の歯がどんな虫歯でどれくらい削ったのかまで覚えることはできません。でも、この写真があれば、もし何かあった時に前の治療を振り返ることができます。

写真は、すべて部位ごとに整理して保管してありますので、いつでも見たい写真が取り出せるようになっています。口腔内写真は患者さんにとっても、歯科医師にとってもとても有益なものだと思います。

ご希望の方にはプリントしてお渡ししたり、ホームページから画像をダウンロードすることもできます。ご遠慮なくお申し付けください。

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2010年6月20日

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W杯盛り上がっていますね。昨日は、本当に惜しいところでした。次のデンマーク戦は、深夜のゲームですが、ガンバって応援する予定です。

さて、お口の中に話を移しましょう。1枚目のレントゲン写真をご覧ください。下の奥から2番目の歯(第2大臼歯)の周りが黒くなっているのがお分かりですか?歯の根全体にもわっとした透過像(黒い)が認められたらまず破折を疑います。

この症例でも金属の心棒(真っ白な像)を外したところ、破折を認めました。破折があれば、残念ながら抜歯しかありません。抜歯するには、その後のことも考えておかなければなりません。選択肢としては、何もしない、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどありますが、ウルトラCとして移植という選択肢があります。

この症例の場合、すぐ上に大きな虫歯のある親知らず斜めに生えていて、サイズもちょうどぴったりだったため、患者さんに移植を提案しました。

移植の成功率は結構高いのですが、成功させるためにはインプラントより高い技術が必要となります。2枚目のレントゲン写真が移植を行った直後の写真です。上の親知らずが無くなって下の歯に移っています。

今回は、自己血から取り出した成長因子(PRGF)を使って、早く生着するように促しています。3枚目の写真をご覧ください。2枚目と比べて移植した歯の根の先端部に骨が再生していることがよくわかります。これは移植3ヶ月後の写真です。この頃には移植歯はしっかり生着していて、心棒を入れて型を取ったところが最後の写真です。

歯を抜いて移植してわずか3ヶ月で歯が入ってしまいました。ちなみにインプラントなら抜いた後の骨の再生に3ヶ月、それからインプラントを入れて3ヶ月待ちますから、咬めるようになるまで最短で6ヶ月かかります。しかも、歯には歯根膜というクッションがありますから、インプラントより自然な咬み心地が得られます。

うまく行けば理想的な再生療法だと言えます。W杯とかけて、「ナイスパス!」と言ったところでしょうか。

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2010年1月18日

最近、臨床から離れた話題が多かったので、今日は久しぶりに臨床の話をしたいと思います。

昨日、PRGFのユーザーシンポジウムに参加してきました。PRGFはBTIというスペインの会社が開発した再生療法なのですが、スペインの医療技術の推進を国がバックアップしているようで、なんとスペイン大使館でシンポジウムが開かれました。

私のような身分ではビザを取る時しか大使館なんて入れませんし、最近はビザなしで入れる国が多いので、大使館なんて入るチャンスは滅多に無くなりました。大使館というものは不思議なもので、1歩足を踏み入れればそこは異国のようなところで、さしずめ大使館の門は「どこでもドア」みたいなものです。

スペイン大使館の出で立ちは、白い壁にオレンジ色の屋根で、透き通るような冬の青空に妙にマッチしていました。中に入ると、床も壁も天井も真っ白な細長い通路があり、それを抜けると日の光のさんさんと降り注ぐ真っ白な部屋につながっています。それでいて、扉やサインは、赤やオレンジ等の鮮やかな原色が使われ、いたるところに大きな絵やら写真やらが飾ってありました。

残念ながら、セキュリティ上館内撮影禁止となっていたので、写真はありませんが、我が家から40分のスペインがそこにありました。

さて、本題ですが、PRGFとは何ぞやということをご説明しなければなりません。

まずPRですが、これはプレートレットリッチ、つまり血小板の濃度が高いという意味です。血小板は血液を凝固させるのに重要な役割を担っている血液中の細胞です。この中には、血液凝固を開始させるシグナルがたくさん入っています。

その中にGF、グロースファクター、つまり成長因子というのが入っています。この成長因子というのは、まだ未熟な細胞に分化を促す作用を持っています。

なんだか難しくなってきましたか?もうすこし分かりやすく説明しましょう。

グロースファクターというのは、まだどんな形になるか決まっていない未熟な細胞(未分化細胞)に、血管を作る細胞になりなさいとか、コラーゲン等の繊維を作る細胞になりなさいとか、骨を作る骨芽細胞になりなさい、といった命令書みたいなものです。

ですから、PRGFというのは、血液の中から成長因子と呼ばれる命令書みたいなものをたくさん取り出して、早く治ってほしいところに注入してやろうというシステムなのです。

よく似たシステムにPRPというのがあり、最近では美容の皺取りに使われていてご存知の方も多いかと思いますが、PRGFには炎症を引き起こす白血球が含まれていないため、PRPより優れているのではないかと注目を集めています。

その応用分野は、皮膚の再生や靭帯の治癒の促進などにも広がっています。歯科領域では、PRGFは骨の再生を期待して使われています。

術式はとても簡単かつ安全です。まず、患者さんの血液を20CC程採取し、ある回転数と時間遠心分離器にかけ、赤血球と白血球と血小板を分離します。そして、その血小板だけを取り出して、患部に応用するだけです。他の異物は何も入れません。傷口に唾を付けるよりも安全かもしれません。

これだけのことで、治癒が早まるのならこんなに都合のいいことはありません。では、なぜこんな魔法のような治療法が知られていないのでしょうか?

一つは、まだその効果についての科学的根拠が十分ではありません。また一つには、まだ開発されて10年くらいしか経っていません。しかも、スペインというあまりメジャーではない国で開発されたため、スペイン語で書かれた文献はたくさんあるのですが、英語で書かれた文献が少なく、あまり世界に広まっていないのも一因だと思います。

日本に入ってきたのもまだ1年半くらい前のことです。シンポジウムのユーザー発表もまだ半年程の経過しか経っていないものが多く、確実な成果を提示している発表は一つもありません。

私も、まだ40症例くらいで、一番長い症例でも1年半前のものしかありません。そして日本のユーザーはまだ100名に満たないのではないでしょうか?

では、なぜ私はこのシステムを導入したのでしょう?

・文献の数は少ないのですが、どれも効果があるという結果が出ていること(PRPははっきりとした効果が認められないという文献が多数出ています。)。

・アメリカの著名な臨床家がその効果を高く評価していること。

・自己血であるために副作用がないということ。

・他の製剤に比べて安価であること。

ですから、やらないよりやった方が効果が期待できるし、万が一効果がなくても副作用は全くありませんよということです。

現在、当院では歯周病の手術や抜歯後の治癒促進、インプラントのための骨造成などに用いています。自分の血液から取り出した成分で治療効果を高めるというのですから、究極にエコな技術なのかもしれませんね。関心のある方はお尋ねください。
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一般臨床

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ヒラノデンタルオフィス院長平野恭吉

http://www.hirano-dental.jp/
ヒラノデンタルオフィス
院長 平野恭吉

昭和61年東京医科歯科大学歯学部入学
平成4年同卒業
平成4年東京医科歯科大学大学院入学高齢者歯科学
平成4年歯科医師免許取得
平成8年同修了歯学博士
平成8年東京医科歯科大学高齢者歯科学講座医員臨床教育研究を行う
平成10年竹内歯科クリニック(飯田橋)勤務(院長/竹内敏郎(元東京医科歯科大学歯学部臨床教授)
平成14年日産厚生会玉川病院歯科勤務役職歯科医長
平成21年HIRANO DENTAL OFFICE開院